育成就労の給与、租税条約の免税は原則対象外|入管庁Q&Aで確認
要点3行
- 入管庁の育成就労制度Q&A(10月15日更新)は、育成就労外国人の給与を原則として租税条約の免税対象外とし、所得税の課税対象と示した。
- 一部の国の技能実習生は免税とされるケースがあった。2027年4月に始まる育成就労では、所得税と住民税が原則かかる前提で給与計算を準備する。
- 手取り額が技能実習生のときと変わる人もいるとみられる。雇用契約前の待遇説明で、額面と税金の控除を本人に分かる言葉で伝えたい。
元になった報道・発表:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(2026年10月15日更新)(出入国在留管理庁、2026年10月15日)
何があったか:育成就労の給与と租税条約
育成就労制度とは、人手不足の分野で、日本での3年間の就労を通じて特定技能1号の水準の人材を育てる制度です。2027年4月1日(令和9年4月1日)に運用が始まり、技能実習制度に代わります。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aは、2026年10月15日(令和8年10月15日)に更新されました。このQ&Aには「課税関係」の問があり、育成就労外国人の給与の税金の扱いを示しています。
Q&Aによると、一部の国から来日する技能実習生は、租税条約の免税規定によって、給与が免税とされるケースがありました。育成就労外国人の給与はこの点が違い、免税規定は原則として当てはまりません。給与は所得税の課税対象で、住民税も所得税と同じく課税対象になります。
Q&Aが詳細の確認先として案内している国税庁の文書回答では、出入国在留管理庁と厚生労働省が照会し、国税庁課税部長が2026年9月15日に照会どおりの見解で差し支えないと回答しています。租税条約の一部には、「専ら…訓練を受ける」人の給与について所得税を免除する規定があり、例として日タイ租税条約第19条が挙げられています。育成就労外国人は雇用契約に基づいて働き、その対価として給与を受けるため、原則としてこの規定に当たらないとされています。給与は給与所得として、所得税の源泉徴収の対象になるとされています。
現場への影響:店長・人事が知っておきたい3点
- 給与計算の前提が技能実習と異なる可能性があります。 免税規定のある国の技能実習生を受け入れてきた企業では、同じ国の人を育成就労で受け入れる場合、所得税の源泉徴収が必要になる前提で準備することになるとみられます。
- 手取りの説明が大切になります。 免税の扱いを受けていた技能実習生と同じ額面でも、税金が引かれる分、手取りが少なくなる人がいるとみられます。Q&Aは、受入れ機関の要件として、雇用契約を結ぶ際に労働条件などの待遇の説明を直接またはオンラインで行うことを挙げています。
- 国税庁の回答は一般的な考え方です。 国税庁は、個々の取引では回答と異なる課税関係が生じることがあるとしています。どの国の租税条約に免税規定があるかの一覧は、出典では示されていません。
2027年4月1日の時点で来日している技能実習生は、引き続き技能実習を続けられます。その人たちの課税関係は、今回の問では扱っていません。育成就労の分野ごとの条件は、飲食料品製造業の育成就労の記事でも整理しています。
明日からできること:店長・人事のチェックリスト
- 育成就労での受入れを考えている場合、給与計算の担当者に、育成就労外国人の給与が原則として所得税と住民税の課税対象になることを共有する。
- 今いる技能実習生に租税条約の免税を適用しているかを確認し、育成就労で受け入れる人と扱いが分かれる点を整理する。
- 雇用契約前の待遇説明の資料に、額面、所得税や住民税などの控除、手取りの目安を、本人が分かる言葉で載せる。
- 給与明細の見方を、入社後にも説明する機会を作る。
- 自社の社員の課税関係は、所轄の税務署や税理士に、労務の扱いは社会保険労務士に確認する。
YOLO BRIDGE の視点
今回のQ&Aは税金の扱いを示したものですが、現場では「思っていた手取りと違う」という受け止めにつながる可能性があると私たちは考えます。技能実習生として働く知人の話を聞いて来日する人にとって、税金が引かれた明細は説明がなければ分かりにくいとみられます。手取りの差が定着にどう影響するかは、出典では示されていません。
給与明細の見方や控除の理由は、一度説明して終わりにせず、本人が疑問を持ったときに聞ける窓口があると安心につながります。YOLO BRIDGE は、会社のサポート担当として外国人スタッフの質問に応える AIバディー(先行体験受付中)と、月1分のサーベイで本人の声を拾う仕組みを通じて、離職につながる前の小さなサインに気づく土台づくりを支援します。詳しくは YOLO BRIDGE のご案内 をご覧ください。
よくある質問
育成就労外国人の給与に所得税はかかりますか?
技能実習生の給与が免税になっていたのはなぜですか?
育成就労制度はいつから始まりますか?
出典:出入国在留管理庁(2026年10月15日) ※事実関係は各出典でご確認ください。
